地理を楽しむ部屋

ここは  もりかど情報 カルチャーくらぶ  「おもしろ地理の話」のコーナーです。
新聞やテレビは日々さまざまなニュースを私たちに伝えてくれます。
国際化、情報化が進む現代、私たちにはより広い視野をもつことが必要とされています。
このコーナーでは、日本や世界各国の自然環境や社会環境などをわかりやすい切り口で紹介します。
ご家族揃ってお楽しみ下さい。
 
担当は、村瀬哲史先生です。




第7話:日本で最高気温を記録したのはどこ?
〜夏真っ盛り〜
 


 ひさびさの更新です(苦笑)!遅くなって本当にごめんなさい!
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  ほんとに久しぶりですね。更新をお楽しみにしていたみなさん m(_ _)m (By 管理人)

 夏本番。これでもかっ!っていうくらい暑い日が続いていますね。天気予報でも「今日の日中の最高気温は36度まで上がります」とか、「今夜も寝苦しい夜になるでしょう」などと連日いってますよね。この暑さ何とかならないもんでしょうか(笑)。みなさんも体調にはくれぐれも気をつけてこの夏を乗りきってくださいね。


さてここで問題です。
問 日本各地の気象台で観測された気温のうち、最低気温を記録したのは北海道。では、最高気温を記録したのはどこ?

 「そんなんいちばん南の沖縄県に決まってるやん!」とすぐに答えられてしまいそうですが、意外や意外、正解は東北地方の山形県で、1933年7月25日午後3時に40.8度が記録されています。山形県といえば、冬はかなり雪が積もり、蔵王や赤倉などスキー場もたくさんある県です。何で東北地方の山形県で、日本最高気温を記録したのでしょうか。

 海からの湿った風が山地にぶつかりこれを越えると、反対側に吹き下ろしてくるときには乾いた熱風に変わっています。これをフェーン現象といいますが、山形県で記録された日本最高気温はこれが原因でおこったものなのです。


 なぜ、山地をこえる風は乾いた熱風になるのでしょうか。図を使って説明すると、

1、湿った風が山地ぶつかり斜面に沿って上っていくとき、気温は100mにつき約0.55度ず つ下がっていきます。

2、このときに大気中に含まれている水蒸気が冷やされて雲ができ雨が降ります。

3、ところが、雨を降らせたあとの乾いた風が山から吹き下りてくるときには、気温は100m につき約1度ずつ上がっていきます。

 具体的に数字を入れてみると、例えば20度の海からの湿った風が2000mの山にぶつかって、これをこえたとすると、山の反対側では29度の熱風となって吹き下りてきます。

 つまり、湿った大気と乾いた大気では、高度が上がる(下がる)ごとに気温が下がっていく(上がっていく)(これを気温の逓減率(ていげんりつ)といいます)が違うため、このような現象がおこるのです。

 この熱風はしばしば日本海側の大火の原因になるため、富山県の砺波平野などでは、家屋を一戸ずつ分散している散村といわれる村落の形態がみられます。家屋が密集していたら、ひとたび火災がおこってしまったとき、すぐに燃え広がってしまいますからね。

 ところで、さぞかしこの日の山形県はたいへんだったろうなと思い、そのときの観測所の記録を調べてみると、「高温必ずしも酷暑を意味せざる(気温が高いことが必ずしも厳しい暑さにはならない)」と書かれていました。乾いた風によって湿度が14%と7月にしては異常に低くジメジメとした暑さではなかったため、実際はあまり不快感は感じなかったようですね(笑)。

 


 

バックナンバー
第1話 土の色は何色?
第2話 米ってすごい作物
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第4話 地理のおもしろさって?
第5話 イスラム教の生活習慣
第6話 黄砂に吹かれて