第1話:土の色は何色?

 みなさん、こんにちは。8月からこのコーナーを担当することになりました。これから毎月、地理に関する身近な話題や、世界各地のいろいろな話をなどを紹介していきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
 
 さて、第一回目のテーマですが、「地理」では気候の分野に入る「土壌」=「土」の話をしようと思います。

 みなさんは絵を描くときに、土を何色で塗りますか?
 「そんなん茶色に決まってるやん!!!」 とほとんどの人に言われそうですが、以前にこういうことがありました。

 北海道を旅行していたときのことですが、私はある駅で電車の時間待ちをしていました。ちょうどその駅の構内では地元の小学生の絵の展覧会が行われており、時間つぶしに見てみると、ほとんどの絵の土の色が白っぽい色(灰色や白っぽい茶色など)で塗られていました。大阪ではほとんど考えられないことですが、これは実際に北海道の土がかなり白っぽい色をしているからです。

 また、飛行機に乗って沖縄に行くと、現地が近づくにつれ、窓の下に見える土の色はかなり赤っぽい色(赤茶色)になってきます。

 大阪に住んでいるわたしたちが普段から見慣れている土の色は茶色なのに、北海道では白っぽく、沖縄では赤っぽい。

 なぜ、同じ日本でも地域によって土の色にこのような差がでてくるのでしょうか? その理由を考えてみましょう。
 
 ところで、世界の気候は大きく5つに分けることができます。
 
東南アジア、南アメリカ大陸アマゾン川流域、アフリカ中部など、赤道付近に分布する年中気温が高い熱帯
降水量が極めて少なく砂漠などが広がる乾燥帯
日本(本州の大部分と四国・九州)、西ヨーロッパ(イギリス・フランス・ドイツ・イタリアなど)、アメリカ合衆国の東部(ニューヨークなど)や西海岸(ロサンゼルス・サンフランシスコなど)のように先進国の大都市が集中する温帯
カナダやシベリア、ヨーロッパ北部などで広く見られる冷帯
 ※日本でも東北地方の一部と北海道は冬の気温が低いため冷帯になります。
年中気温が低く、年間を通して雪や氷に覆われる南極や、グリーンランドなどが含まれる寒帯
 
 今こうして部屋の中にいて画面を見ているみなさんは、突然雨が降り出してもぬれることはありませんし、太陽がカンカンに照りつけても日焼けすることはありません(そらぁ、屋根でおおわれ、周りを壁で囲まれた部屋の中にいますもんね)。

 しかし、野ざらしの状態になっている土は、雨が降ったら水を含みますし、太陽が照りつければ温度が上がりカラカラに乾くでしょう。また、気温が低くなると凍ってしまうこともあります。

 つまり、外にある土は気温の影響を直接受けるため、それぞれの地域の気候によって、それぞれ異なった色や性質の土が生成されます。
 
 このように、気候の影響を強く受けて生成された土のことを成帯土壌といい、

   熱帯には「ラトソル」と呼ばれる赤色っぽい土
   温帯には「褐色森林土」とよばれる褐色(茶色)の土
   冷帯には「ポドゾル」と呼ばれる白っぽい(灰白色)土

というように、それぞれの気候の特色に対応した土が見られるのです。

 わかりやすい例を一つあげると、熱帯は5つの気候帯の中で、最も気温が高く降水量も多いため、土の中に含まれる鉄分やアルミニウム分が錆び、それが土の表面に集積するため、土の色は赤っぽくなります(錆の色は赤っぽいですよね)。
ラトソル
第一学習社版
高等学校 新地理B より

 こういったことから、同じ日本の中でも、寒冷で冷帯に属する北海道では土の色は白っぽくなりますし、熱帯に近い沖縄では土の色は赤っぽくなるのです。

 「土の色は茶色」というのは温帯の大阪に住んでいるからなんですね。

 日本全国や世界各地を旅することはなかなかできませんが、テレビ番組や映画などで外国の映像が流れたときなどには注意して見てみて下さい。世界にはいろんな色の土があることや、土の色からその土地の気候がわかると思います。